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いつまでもいつまでも

第3章 君に魔法をかける

約束通り、ホテルのロビーに、時間より少し前に現れた紫乃。

ロビーには大きなクリスマスツリーが飾られていた。

見ているだけで心が和んだ。

流れてくるクリスマスソングのBGMも心地良い。



この温かいクリスマスムードが、今日の俺を最高に演出してくれるはず。

「はい、これ、忘れ物」
茶封筒を俺に差し出そうとする紫乃。

「髪切った?」

「うん。
お腹が大きくなると髪洗うの大変なんだって。
だから…
おかしいかな?」

「ロングもいいけど、ボブも似合うよ。
少し幼く見える。
けど、可愛い」


「有難う…
じゃあ、忘れ物、確かに届けましたよ!
後は、靖幸の仕事終わるの待ってるね」  

『なに?紫乃?照れてんの?
可愛いんですけど!!』

もう一度、茶封筒を紫乃は差し出したが……



「この茶封筒開けてみ?」

「えっ、何?」

「いいから!
早く!」

不思議な顔をしながらも、俺のいう通りにする紫乃。

ガサガサと音を立てて、茶封筒を開け、中から一枚のカードを取り出す。

紫乃は、そのカードを手に取り、声を出さずに読んだ。




✾✾✾



 愛する妻 紫乃へ

変わらぬ愛を紫乃に一生捧げてゆけるのは、きっと頑固サンタの伊野尾靖幸だ!
その愛にこたえる勇気があるなら、今夜デートしょう!


✾✾✾




我ながら、キザで格好つけた、こっ恥ずかしいクリスマスカードなんだよね…


「バカ!
靖幸のバカ!
嬉しすぎて泣いちゃうよ…」


あぁ…泣いちゃった。
あの時の社員食堂の顔……思い出すじゃねーかよ!

キュンとしたのは、俺の方だった。
どんだけ、奥さんLOVEなんだ?


「紫乃、デートしょう!」
俺が手を差し出すと、ギュッと握り、泣き顔から笑顔に戻る、癒やし系妊婦の紫乃。

「部屋取ってある。
行こうか?」

「うん」

フロントでチェックインを済ませ、鍵を受け取り、エレベーターで上へと上がってゆく……

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