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『ヒボクリトの贖罪』 大阪在住40男とメイド達の非日常性活

第13章 あなたは思い出の中で

辛く長い2017年が終わろうとしていました。

この負のスパイラルは
来年に持ち越したくない
そう願っていました。

その思いは、
叶わなかったけれど。


今までも辛い時はありました。
ただ、仕事、家族、恋愛、仲間、趣味など
何かがダメでも、何かが私を支えてくれていました。

そして、その中心にいたのが母でした。

いつも強さと無償の愛で
私を支えてくれた母。

その母は春に倒れ
いまだ意識を取り戻しません。


自分でも驚くくらいに
まん中に風穴が空いたようで
心が空っぽになってしまいました。


そんな心の支柱を失った私に
様々な『責任』が覆い被さってきます。

そういう年齢になったこと
そういう立場になったこと
皆が信頼を寄せてくれていることは
喜ばしいことですが、
自分自身のこと以上に
誰よりも喜んでくれる母は
まだ帰らぬままです。

今まで母にしか言わなかった弱音が
どんどん、どんどん蓄積して
柄にもなくナーバスになってしまいました。

誰かにすがりたい。
そう思った時に頭に浮かんだのは
あの人でした。


ある日私は酒に酔った勢いで
彼女のSNSページに足跡を残しました。

彼女と離れて6年

今まで何度か訪れては
足跡を消してを繰り返してきました。

最後に訪れてからどれくらい経ったかわかりません。

幸せそうに彼氏の話をする彼女を
複雑な思いで見ていましたが
とうとう耐えきれなくなってしまいました。

あれから6年
久しぶりに訪れた彼女のページには
あの頃と変わらない彼女がいました。

もう26歳になっていました。
二十歳のまだあどけなさの残った少女は
すっかり大人の女性になっていました。

私ははじめて
足跡を消さずに
彼女のページを後にしました。

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