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Best name ~ 追憶 ~

第2章 私の希望

『送るよ…』





……送る?


…私を……?





そういう事らしいけど
断った。





すぐ近くだもの……それに…





~だけど…





『…近いなら、すぐ事足りるでしょ?
もう遅いし、危ないから。……早く』








ドキ…ドキ…








逆をついて、その人はそう言ってきた。

少し困惑した。





そんな事をしてもらう理由ないし……





けれど、その人は
夜道を歩く私を心配して
そう言ってくれたようだ…。





2人組から逃がしてくれた…

その事も考えると…そのまま、そう思えた。




~でも……だけどナァ…


と、たたずむ私……


…に、対して


先方も黙って私の方をみている。




・・・どうしよう






私は…何も言わず帰り道を歩き出した。

にらめっこ(?)にも
ちょっと堪えられなくて。




その人は…少し距離をとって
黙って私の後ろをついてきた。








『……アイちゃん…?で、いいんだっけ?』





私に名前を確めてくる。

私の…ニックネーム




黙ってうなずく。








私も…フツフツと
その人に聞きたい事が沸いてきていた。



どうしてあの場にいて…

どうして手をかしてくれたのか……と。




その人は
たまたま風に当たっていたから、と言う…。




微かにその人からするタバコの匂い…。




私は、お酒もタバコもやらないけれど


タバコ……


吸う人にとっては
風にでも当たって、フゥ~っとふかすのは
リラックスタイムなのだろうな…


そこを私はジャマしてしまったのか、と


申し訳なくなって
一言お詫びした。

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