
Best name ~ 追憶 ~
第2章 私の希望
『あ・・・ごめん・・』
……。
意外にも…
というか
私の勝手な心配、と言うように
その人は「ごめん」と、私の手を
気遣うように、そっとはなした。
体温が……はなれる。
そしてはじめて…
正面から、その人物を見る。
ぐんと上を見ないと
目の合わないその人物……。
・・・・・え?
……この人って…
ドキ……ドキ…っ…
さっきお店で
最後のテーブルにいた…
酔っぱらいの
連れの人……。
あまり見ていなかったのと
座っていたのとで、よくわからなかった…
こんなに 大きかったんだ。
私は少しの間…その人をボーっと見ていた。
…何か言うべき……なのかな
何を言えば良いかわからない…。
ところが
その人も…
ボーっと……と言うか
無言で、こちらを見ていた。
見下ろすのと、見上げるのの違いだけで
揃って黙っていた。
……え …ちょっと…
どうしたらいいの?
そっちも黙るって・・・
そう考えてるうちに
その人は、少し目を左右させてから
ため息まじりに言う。
『…~家ドコ?』
〃?…〃
私は黙ったまま少し首をかしげた。
それは・・・どういうイミ?
