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Best name ~ 追憶 ~

第1章 私の記憶

高校2年の冬
いつも通りの学校帰りだった。

『アイルまたね~』

『うん。また明日』

友人は途中下車していく電車の中。
私が降りるのは最後の駅。






『ねぇねぇ』

『?』

改札を出た所で呼び止められた。



『SS高の子だよね?』

『……そう…ですけど』



制服を見ればわかるかもしれないけれど…
何事だろう?


声をかけてきたのは、大学生(?)くらいの
若い男の人。

『オレもSS高 出身なんだ~』


高校の先輩と名乗ったその人は
ナゼかさりげに一緒に歩いてきた。



『あのぉ…』


『てさか、片瀬 愛留ちゃんじゃない?』


『え…』


『覚えてない?オレ2コ上だから
1年かぶってるはず。
オレは覚えてたよ~♪?』



・・・。



正直なところ私は
顔も名前も出てこない先輩だった。



『ごっ、ごめんなさいっ。あの…でも
どうして…』


『あのさウチで犬飼いたくて、
仲間が後輩にペットのこと詳しい子がいるって
言っててさ』



私はただ単純に嬉しかった。

高校のOBという親近感、何より
自分の勉強していることが
誰かの役に立つかもしれない。

そんな気持ちから、私は自然と
その先輩と仲良くなった。



次の年に受験を控える私の勉強をみてくれたり
〃先輩〃…というか
やさしいお兄さんのような感覚を覚えた。



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