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Best name ~ 追憶 ~

第1章 私の記憶

そんな私に、ある日友人が警告をしてきた。

『ねぇアイル、セイゴ先輩と付き合ってるの?』


『え?…』


学校帰りに
ファーストフード店で友人から聞く言葉


〃ツキアッテル…?〃


付き合ってる…って、何だろう。

恋愛経験もゼロに等しい私は
アタマに大きく疑問符が浮かぶ。

〃???〃



『結構ウワサになってるよ~?』
『よく一緒に歩いてるの見るって』


……。


『……。付き合ってる…って
手つなぐとか……キスするとか?…』


こんな調子の私に
呆れ半分、心配半分の友人がクギをさす。


『オ~イ(汗)そう来る?アンタねぇ
中学生じゃないんだから!』

『でもさアイルどうなの?先輩と~どうして…』



『う…ん…ぇっと、駅でたまたま帰りに
声かけられて知り合っただけだよ?』





『それナンパってゆーんだよアイル~…』
『やっぱりかぁ~…』


『……なんぱ?』


聞き慣れない言葉に首をかしげる私に
友人はますます心配げに私を見つめた。

私の友達はみんな私思いだった。
足りない私を本気でフォローしてくれる友人たち
(体育の授業なんてもろに…)
そんな友人達に囲まれて私は本当に幸せだった。

その友人の言うことだ…耳をかたむけて
じっくりと聞く。



『…ぶっちゃけ言っちゃうけど
あんまイイ話聞かないよ……センパイ』


『…どゆイミ?』


『~~…遊び人!てコト…』


〃アソビニン…〃
初めて聞く言葉に私はまた混乱した。


『あたし、あの先輩覚えてるけどさ…
めっちゃチャラかったよ?
アイルの他に…
女の子いっぱいいるんじゃないの?
ぶっちゃけ…』

『アイルは人がイイから…。
一緒にいてアイル、なにもないの?大丈夫?』



『?うん。…勉強教えてくれたりする』



『マジ?~て言うか、アイルは?
先輩のコト好きなの?』



『…好きかキライかって言われたら…
スキ…と思うけど…そゆんじゃ…
それに私…彼女とかじゃないし。
つき…合ってないよ……?』



友人にはありのままに話した。

友人の心配を有り難く思い感謝するのと
同時にもうひとつの思いも浮かんだ。


人の…ウワサだけで
その人を決めつけるのは…イヤだな、と。

その先輩は私には
いつも優しくてニコニコしていたから…。




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