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彼は黙って…
私の話をさいごまで聞いてくれていた。

少し目を細めて…

そして…








『もう苦しまなくていい。
自由に生きてくれ』











自由に・・・生きる。









自由・・・。








自由・・・？










もしも・・・




自由に生きられるなら・・・






私は・・・ここがいい。







あなたのそばがいい。








あなたのそばで・・・ここで・・・







生きていたい。

















長い苦しみから・・・解放された



そんな瞬間だった。











『オレはアイルが好きだ。
今のアイルが……。

だけど、今のアイルをつくったのは
過去のアイルだ。

過去があるから、今がある…
だから…オレは

全部ひっくるめて
アイルのことが好きだよ。

もう…こわがらないで。
オレから……逃げるな、アイル』










そして彼は…

私の名前を〃『良い名前だ』〃と

言ってくれた。






大キライになっていた
ヘンなナマエ・・・。




両親にも恋人にも
愛されなかった私に…

身の丈に合わない…
ちっとも似合わないナマエを。




彼はこう言う…

私の中には、たくさんの人の

愛情が留まっている、と・・・。





『〃愛留〃……アイルにピッタリの
とても良い名前だよ』