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Best name ~ 追憶 ~

第2章 私の希望

『私ね・・・17歳のときに・・・
男の人たちにイタズラされたことがあるの…』




『・・・』




彼が目を細めて
切なそうに私を見る…。


私と目を合わせたまま
〃もういい〃…と言うように
小さく首を横に振って…


彼は私が話し続けるのを
遮るように私を抱き寄せた。





話して楽になるのは私だけ・・・




ごめんなさい。



だけど・・・聞いてほしいの。




私は彼の腕の中で声を発した。





『はじめてできた・・・彼氏だった』

『・・・・・』



彼は、それ以上は私を止めなかった。
黙って…話を聞こうとしてくれていた。





『私…レンアイとかよくわからなくて…
受験ひかえてたり、戸惑うこともあったりで
ちょっと限界かなって感じてたころ…。

見たこともない彼の姿……
こわかった。

私にキモチなんかなかった…って。
初めから…全部ウソ……って。

裸にされて…オモチャみたいに…。
私は…汚れてしまった。

こわくて、にげたくて
どんなに謝っても…どんなにたのんでも
許してくれなかった。

こわくて…こわくて…恥ずかしくて
惨めで・・・消えちゃいたいって思った。

なんとかその場から逃げ出したくて
気付いたら私・・・

目の前の彼を・・・この手で・・・』







『アイル……もう…』



彼は膝にのせた私を
そっと…少しつよく抱きしめ直してくれた。






『…私はもう…きっと誰とも
誰のことも・・・

男の人を……受け入れることができない。
結婚だって、できない。

…そんな私が…それをわかっていて
リョウキのやさしさに
ずっと甘えていた。

黙っていて…ごめんなさい。
これが私なの…。

こわかった・・・
幸せだ、って感じてる自分も…

本当のこと…話して
リョウキに嫌われることも…

こわくて…たまらなかった』

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