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Best name ~ 追憶 ~

第3章 私の大切な人

カラカラ・・・と

点滴を引っ張りトイレに行く。



気休めでも
とりあえず

手だけでも洗えば
少し落ち着くかもしれない。






バシャバシャ・・・



バシャバシャバシャ・・・



バシャバシャ・・・バシャバシャ・・・







過去のトラウマで芽生えた


私のちょっと困った癖…。






忌まわしいこと・・・

こわいこと・・・

思い出して気分が悪くなると

こうして手を何度も洗ってしまったり

擦りきれるほどお風呂で体を

洗ってしまったり・・・



以前は・・・こんなことが
続いてた。


一緒に住んでたソウタさんも
多分…知らない。





もうずっとこんなことなかったけど
過去に引きずり戻された状態の私に

自ずと出てきた自己防衛のひとつ…
悪い癖…。








スッキリする、少しは落ち着く

どころか…

止まらなくなってしまった。









バシャバシャバシャ

バシャバシャバシャ・・・









〃汚ない・・・キモチワルイ〃







バシャバシャバシャ・・・






〃洗いたい・・・身体も、今すぐ〃








そしてトイレの洗面台の鏡で
腫れ上がった頬や口元…
傷だらけの自分の顔を見てしまった私は


自分の現実を更に目の当たりにする。


完全に混乱・・・壊れて
取り乱していた。



〃助けて・・・洗わないと、汚ない〃






無我夢中に点滴の絆創膏を
むしりとって針を抜き
その場に投げ捨てた。






もういやだ・・・





コワイ思いはもういやだ・・・





汚ない・・・





洗いたい・・・









私はトイレから飛び出し




検査着のまま人に混じって
隙をみて病院を抜け出した。




薬のせいか少しぼんやりする。
だけど代わりに痛みは差ほど感じない。



おそらく、よろよろと・・・

だけど必死に歩いて

河原へ降りた。



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