テキストサイズ

Best name ~ 追憶 ~

第9章 本当の姿・・・

アイルがスクラップにした車



・・・の代わりに


先日ようやく納車されたばかりの新車






アイルの事を言えなくなるぜ

ぶつけないようにだな…




なんて



冷静さもなにも

正直持ち合わせていない




この焦燥感から早く解放されたくて

車をとばした




ぶつけようが…スクラップにしようが

かまわない




早く…行かねぇと




それはやっぱり…アイルが心配だったから






普段なら下道で十分な距離と道…



オレは文字通りすっ飛んで行きたくて



ハンドルを思い切りきって進路変更



高速に乗って実家へと急いだ










キキィッ・・・っ






実家のガレージの僅かなスペースに

道にはみ出ないギリギリで

無茶苦茶な停め方で車を入れて

すぐに家に駆け込んだ








ガチャ…っ




ドタタタタタッ・・・






呼び鈴も成らさず

声もかけず

黙って中に進んで

リビングのドアを乱雑に開ける







バァン……っ











『・・・!?』







連絡をくれたケイゴが

〃説明が出来ない〃と言った理由は

なんとなく・・・わかった






飛び込んだ実家の景色は


最近良く見ていた


アイルとオレの家族が


笑って雑談してたり


一緒に食事してたり




オレの母親とアイルが

一緒に料理したり

クッキー焼いたり・・・なんて




見慣れつつもあった

そんな景色とは…まったく違う

異様なものだった







そして…同時にオレは

ようやく知ることになったんだ





オレが察してやれなかった



オレが・・・わかってやれなかった



アイルの〃本当の気持ち〃







オレが・・・ちっとも


なんにもわかってやれなかった


〃アイルの心〃

ストーリーメニュー

TOPTOPへ