無料で楽しめるちょっと大人のケータイ小説

『ほら・・・アイル』

『・・・』


オレは動こうとしないアイルの腕を
少し強く引っ張った






『リョウキ・・・ちょっと待ちなさいって

話はまだ終わってないのよ』






母親の声に
オレのこめかみの辺りがピキッと音を立てる





『は？……こっちは話なんかない

母さんと・・・あんたらと
話すことなんか・・・ないぜ

アイルを連れて帰る
オレは二度とここへは来ない』




『？！……りょおきっ…』




アイルがやっと…オレの方を見た

目を……真っ赤にして






『リョウキ・・・～ちょっと落ち着いて』



ため息をつきながら母親が
前髪をかきあげた









『ｹｯ・・・なんなんだよ、みんなして』







『え・・・？』

『・・・』

『・・・』








『母さんなんか…散々、浮かれて

アイルがいて、舞い上がってたクセしてさ

それが・・・なんだよ

そんなハナシひとつ聞いた途端に

揃って手のひら返して…コレかよ？』









『リョウキ・・・あのねぇ？！』








『・・・どの口が言ったんだよ？』








『リョウキ・・・だから…』










『〃人をミテクレや上っ面だけで
決めつけんな〃・・・って

育ちだの…肩書きだの
そんなカタチでばかり決めつけんなって

オレら兄弟に散々言ってきたの誰だよ？』








『・・・』







『決めつけるな…レッテルを貼るな

自分のされて嫌なことは人にもするな

って・・・

オレは…あんたの言ったまま

育っただけだろ？』








『ﾊｧ・・・～リョウキ、ちょっと…』








『人を…決めつけるな…？

オレは・・・そうしただけだ』







『・・・』







『オレは…アイルって人間を見て

〃オレが〃・・・コイツを選んだんだ』