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Best name ~ 追憶 ~
第1章 私の記憶
『三者面談、先生と話したことを報告なさい。
いいわね?』
偶然だが
朝、家族三人が揃ったある日。
ここを逃しては大変だ、と
私は母に話をした。
母が学校行事に来ないなんて我が家では
むしろ普通のことで。
『うん。……ママ…私…』
『経済学部になさい』
『……』
母の言葉で一瞬シンとする。
三人いても基本的に会話はない。
仕事人間な父に母。
言わば、家庭の中に男が二人…。
両親が仲が良くないのは
薄々、知っていたけれど
二人の大喧嘩とか
言い合いを見たことはなかった。
……と言うか
勉達者な母に、寡黙な父
ある意味ケンカにならないようなのだ。
黙ってしまいそうな私…。
父は新聞に目をおとしていて何も言わない。
『ぇ……ママ、私……』
祖父に甘えて育った私は
母とちゃんと対当に話す事が中々できなかった。
と言うのもあるけれど…
親の……母の言うことに異を唱えようとしたのは
これが初めてだったから。
母が間違ったコトを言っているとは
思わなかったし
私は基本 従ってきた。
これが初めて……
母にもゆずれない
私の意志。
『私…獣医学部に進みたいの……。
6年制だし…学費もその分かかるから
国公立に受かるように、ちゃんと勉強する。
遠くの学校になったら、一人暮らしして
アルバイトだってする……。
奨学金の相談も先生にしてるの。
だから……許してほしいの』
『~まだ、そんなこと言ってる。
将来のことちゃんと考えなさい?先々まで。
そう甘い世界じゃ…~』
『ママ…』
勇気を振り絞って
私が両親に
初めて言った〃ワガママ〃だった。
その時…
『……いいじゃないか』
『え?…』
『……?』
私と母の視線が
父に集中した。
いいわね?』
偶然だが
朝、家族三人が揃ったある日。
ここを逃しては大変だ、と
私は母に話をした。
母が学校行事に来ないなんて我が家では
むしろ普通のことで。
『うん。……ママ…私…』
『経済学部になさい』
『……』
母の言葉で一瞬シンとする。
三人いても基本的に会話はない。
仕事人間な父に母。
言わば、家庭の中に男が二人…。
両親が仲が良くないのは
薄々、知っていたけれど
二人の大喧嘩とか
言い合いを見たことはなかった。
……と言うか
勉達者な母に、寡黙な父
ある意味ケンカにならないようなのだ。
黙ってしまいそうな私…。
父は新聞に目をおとしていて何も言わない。
『ぇ……ママ、私……』
祖父に甘えて育った私は
母とちゃんと対当に話す事が中々できなかった。
と言うのもあるけれど…
親の……母の言うことに異を唱えようとしたのは
これが初めてだったから。
母が間違ったコトを言っているとは
思わなかったし
私は基本 従ってきた。
これが初めて……
母にもゆずれない
私の意志。
『私…獣医学部に進みたいの……。
6年制だし…学費もその分かかるから
国公立に受かるように、ちゃんと勉強する。
遠くの学校になったら、一人暮らしして
アルバイトだってする……。
奨学金の相談も先生にしてるの。
だから……許してほしいの』
『~まだ、そんなこと言ってる。
将来のことちゃんと考えなさい?先々まで。
そう甘い世界じゃ…~』
『ママ…』
勇気を振り絞って
私が両親に
初めて言った〃ワガママ〃だった。
その時…
『……いいじゃないか』
『え?…』
『……?』
私と母の視線が
父に集中した。
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