TIME is MONEY
第6章 scene Ⅵ
「何が?風呂場でのセックス?」
“凄く良さそうだったけど“ なんてニヤリと笑うのがムカつく
「…ふざけんなよ、あのお遊びだよ」
どこでしようと気持ち良ければそんなのは構わない
清純無垢な訳じゃないから、セフレとしてのセックスはどうでもいい
俺が言いたいのは “恋人ごっこ“ の方だ
途中から、嘘だか本当だか分からなくなってしまった
こいつは本当に俺が好きなんじゃないかとさえ思ってしまった
そして俺も、雅紀を好きなのかと錯覚してしまったんだ
「なに、あの甘い “恋人同士みたいなセックス“の事?」
あの囁きを思い出して、カッと顔が熱くなる
そんな俺を見て雅紀がクスクス笑った
「なに、かずって実は純粋?」
バカにされてる
何でこいつにバカにされなきゃいけねぇんだよ
ふざけんなよ
「かず」
足下にいた雅紀が立ち上がり、ソファーに手をついて俺に覆い被さる位置にずれた
至近距離に来た雅紀を思い切り睨み付けると
「…マジで可愛かった。本気になりそうでヤバかった、……でもそれはダメなんだよね
だから気分だけでも……」
“恋人になりたかった“
最後の方は聞き間違いかも知れない
だけど
チュッと触れるだけのキスをして、離れて行った雅紀に
もう一度聞き返すなんてのは
出来る筈がなかった