TIME is MONEY
第8章 scene Ⅷ
「なに…これ……」
そりゃ見れば何かなんて分かるけど、それでも聞いてしまうのが人間ってもんだ
「見ての通り」
「いやだから、そうじゃなくて」
「会社、潰していいって言ったよね?」
そこは本心だから頷いた
「かずには、うちの会社を動かしてもらう」
「だからそれは…っ」
俺は返事してないって言ってるのに
…雅紀からは有無を言わさない雰囲気が醸し出されている
「これで最後。かずにやらない選択肢はないから」
“…それとね“
雅紀は何とも言えない笑顔を貼り付けて
俺の反論を無視して話を続けた
「この養子縁組、かずの親は喜んでた」
「…は?」
いくら自由にしてると言っても、血の繋がった実の親子だ
それに喧嘩した覚えもなければ、恨まれる事もないはず
なのに喜んだ?
「こんな事言いたくないけど…、かずにはあの親は必要ないと思う」
「どういう…事、だよ…」
何故か声が震えてしまうのを抑えられない
「かずを手に入れたいから、きちんと話をしに行ったんだけどさ
…あの人たち、お金であっさりかずの事手放したんだよね」
みんな、おかしい
やる事なす事、普通じゃない