TIME is MONEY
第8章 scene Ⅷ
なんだよ、金で手放すって
どういう事だよ、俺を金で買うって
俺はモノじゃない
れっきとした人間だ
「この際だから隠さないけど
かずの両親、4000万であっさり承諾した
億単位でも吹っ掛けると思ったけど低くてびっくり」
「つまり俺にはその価値がないって事か」
聞きたくない
もうこれ以上何も言うな
「おい雅紀…」
翔が雅紀を咎めるような低い声を出すけど、庇って欲しくもない
「そうじゃない」
「…え?」
なにがだよ
れっきとした人身売買じゃないか
それも “法“ を使った、裏よりもある意味汚いやり方で
「あのさ、その金額はお前の両親が提示したの。俺はかずに金額なんか付けないから」
「どっちも変わんねぇだろ!」
「変わるよ」
至極真剣な顔をした雅紀が、俺の腕をテーブル越しに掴んだ
「何のためにお前を拐ったと思ってんの」
「は?そんなもん知るか!」
掴まれた腕を離そうともがくけど、雅紀はびくりともしない
力の差に舌打ちするしか出来ないのがムカつく
「ああもう!あのね、俺はお前さえいればいいの!」
ー…意味が分からない