TIME is MONEY
第8章 scene Ⅷ
彼女がいたとして、将来を考えたにしても
そもそも俺は家庭に収まるのは向いてないから、結果相手を泣かせる事は目に見えている
だから戸籍が関わるような結婚なんてのを、この先するとも思えない
「…別に、ないな」
戸籍にこだわる意味は、確かにない
ただ何て言うか…だからと言って “はいそうですか“ も違うとしか言えない
「まあ、そうは言っても複雑なのは分かるよ?
たださ、俺としてはむしろ雅紀の暴走は良かったと思ってる」
「え?」
翔が、大きな封筒を取り出した
見てみろ、と目で訴えている
ガサガサと取り出したそれは、何枚かの綴りで
目を通し始めてすぐに、それが何か気が付いた
「…すげぇ最悪」
思わず舌打ちした
悪どいのは分かってたけど、ここまで下衆いとは予想外だ
「雅紀が二宮不動産を潰した後、ここに書いてある奴らが黙ってるとは思えない」
「……」
「中には、かなりヤバい所にも手を出してる。そうなれば身内にも間違いなく矛先は向けられる」
翔の話を聞きながら、1枚1枚資料を読むけど
正直ショックの方が大きくて、頭が痛くなっている