TIME is MONEY
第8章 scene Ⅷ
「言っちゃなんだが、雅紀の言う通りお前の両親はクズだ。けどはっきり言って頭も悪い」
「ふは、こうはっきり言われると笑うしかないな」
自分の親の事なのに、何故か怒りが沸いてこないのが不思議だった
両親に愛情がなかった訳じゃない
確かに育ててはくれたし、虐待された訳でもない
ただ、物事が見えるようになった時から
汚い部分が見えすぎたのかも知れない
いつしか、……多分高校に入ってから
両親を “親“ ではなく、ただ学費を出して貰うだけの “他人“ と認識してた
育てて貰った恩なんて、何も知らない子どもに悪事の片棒を担がせた事でチャラだ
「…お前が、そういう性格だから歪まなかったのかもな」
翔が、苦笑する
雅紀も、何とも言えない表情をして俺を見ている
「充分歪んでると思うけど?」
俺みたいなのが歪んでないとするなら、世の中おかしくなってるだろ
「そりゃ純粋とは間違っても言わないけどさ」
「何だそれ」
「歪んでないのは、他人に危害を加えないとこだよ」