TIME is MONEY
第8章 scene Ⅷ
要は “生田対策“ で暫くはこのままでいると言う事らしい
「アチラさん関係は刺激しないに限る」
…それは素人目でも明らかだ
あの世界は俺らなんかには到底理解出来ないだろうし
「ああもう、いいや。やるって決めたの俺だし」
深く考えるのは性に合わない
すっかり冷めたコーヒーを一気に飲み干して、大きく伸びをして体を解した
「いいねぇ、その楽観的考え」
「ほっとけ」
ピリピリした空気が消えたのが分かる
笑う翔の横で
雅紀も、あからさまにホッとした顔をしてる
「んじゃ、話がまとまったとこで俺は帰る」
翔が椅子から立ち上がり、俺同様に体を伸ばした
「飯、食べてかないの?」
時計を見れば昼を過ぎたとこだ
“適当に作るけど“ と言った雅紀にニヤリと口角を上げた翔は
「智が待ってるから❤」
そう言っていそいそと出て行ってしまった
残された俺と雅紀は思わず顔を見合わせて
……盛大に暫くの間、お互いに笑っていた
心からこいつと笑ったのは、これが初めてだった