TIME is MONEY
第9章 scene Ⅸ
「おい…、雅紀」
「ん?」
かろうじて動く右手で、ペチペチと背中を叩く
「離れろって…」
「やだ」
やだじゃねえだろ
こんなのおかしいだろ
セックスを楽しむだけなんだから、終わってまで抱き締めるとか有り得ない
「離せって」
「もう少しだけ…」
そう言って目を閉じた雅紀は動きそうになくて
到底そこから逃げるのは不可能だと判断した俺は
溜め息を吐いてから、仕方なく同じように目を閉じた
“好きになった、って言ったらどうする?“
遠くなる意識の中、そんな声が聞こえた気がしたけど
それがどういう意味なのか分からないまま、俺は深い眠りに落ちて行った