TIME is MONEY
第10章 scene Final
1年掛けて水面下で着々と手を回し、二宮不動産はついに倒産に追い込まれた
両親は、当たり前のように俺に縋りついてきたけど
いくら血が繋がっていようと他人になった今、俺がそれに応じる訳がない
それに
潰すに当たっては、殆ど俺は関与していない
雅紀が敢えてさせないようにしてた事は気付いていたけど、俺もそこに異は唱えなかった
いくら全て棄てたと言っても、俺だって人間だ
複雑な気持ちになるのは仕方ない
それを雅紀は考慮してくれたんだ
その間、俺は翔と一緒に新会社の設立に向けての準備と
生田からの追跡を惑わす為の “何でも屋“ の仕切りに追われた
雅紀は俺の受けた依頼をこなしながらの二足のわらじで、多分一番大変だったとは思う
だけど俺がそれを労うかはまた別の話で
「雅紀、明日はこれな」
メールの依頼をプリントアウトして雅紀に投げた
「…マジで?!」
「当たり前。働け、稼げ」
「鬼っ!」
容赦なく依頼を雅紀に押し付ける俺がいる