TIME is MONEY
第1章 scene Ⅰ
当の雅紀は、今まで見た事のない
嫌な笑みを浮かべている
「ほら、その顔」
「何が……」
「強がってるのに、どこか怯えてるのが可愛いよね」
何なのこれ
一体何が起きてんだよ
俺がイライラして、雅紀にそれをぶつけて
勢いでのし掛かったのまでは覚えてる
だけどその後の事を何も考えてなくて、気付いたら雅紀に組み伏せられたこの体勢
でもって “可愛い“ とか言われちゃって
あれ?
もしかして、俺
…何かヤバい状況?
でも雅紀、テレビで水着の女見て
スタイルがどうとか、鼻の下伸ばしてたよね?
“こういう娘、タイプだよなー“ って言ってたよね
って事は少なくともこいつはホモではないのか
悪ふざけってやつか
そう思ったら、ちょっと俺も安心して
…もう一度睨み付けた
「どけよ」
「んー…どうしようかな」
「何言ってんだよ」
ー…チュ、
いきなり唇に何かが触れた
…それが雅紀の唇だと気付いたのはすぐの事
「な…っなん……!」
驚きのあまり
金魚みたいに口をパクパクさせるしか出来ない
だって今
キス、された………!?