TIME is MONEY
第1章 scene Ⅰ
いつものようにバイトを終えてぼんやりと歩いていた時だった
遥か先から、全力疾走してくる奴がいるのには気付いていたけど
自分には関係ないし、あの勢いで万一にもぶつかられるのだけは勘弁だな
そう思って
俺はさりげなく歩道の端に避けたんだ
だからその走ってきた奴は
そのまま俺の横を通りすぎると思ってたのに
「ごめん!!」
そいつがいきなり謝ったと思ったら、俺の腕を引っ張って
何がなんだか分からないまま、いきなり一緒に全力疾走させられる羽目になった
「ちょ…っ離せ…っ!おいこら!」
走らされながら言ってみるけど、そいつは止まる事なく俺を引っ張ったまま尚も走り続けて
後ろの方から「待て!」なんて声が追いかけてきてるって事は
…俺、何か巻き添え喰ってんの?
ちょっとマジで訳分かんないんだけど
……何なの一体
ここんとこ、まともに走ってなんていないから
足が縺れて転びそうになるけど
それさえも許されないかのように強引に引っ張られて
息一つまともに出来やしない
こんな事なら日頃から運動しとけば……
って、違うし!!