TIME is MONEY
第1章 scene Ⅰ
前とは違う、触れるなんて優しいもんじゃない
驚きに目を見開いたら、薄目の雅紀と目が合ってしまって
思わず慌てて目を瞑ったけど
…近すぎるその視線に
嫌でも “キスされてる“ と思い知らされる
勘弁してくれよ
俺はソッチ系じゃない
どうせキスするなら女の子のが断然マシだ
これ以上深くされてたまるかと唇をきつく噛み締める
雅紀の舌の侵入だけは塞ぎたい
だけど息も苦しくて
油断すると、空気を求めて唇を開きたくなってしまう
雅紀の舌が俺の口角から、執拗に侵入を試みているのが分かるから
意地でも開けてたまるかとムキになっていた
「…なかなか強情だね」
雅紀が唇を離して、面白そうに笑う
「ったりめぇだろ…誰が男なんかと…っ」
苦しくて涙目になってるけど、口で反抗する事は忘れない
「ふーん」
空いた方の手が、後頭部に回される
優しく髪を撫でた…と思った矢先、短い髪を無理矢理掴んだ雅紀が
そのまま後ろにグイッと引っ張った
「あ…っ」
首が仰け反る形になり、嫌でも口が閉じられなくなった処に
雅紀の舌がするりと滑り込んでしまい
…俺の舌はあっけなく雅紀のそれに捉えられた