TIME is MONEY
第1章 scene Ⅰ
訳分かんないまま連れてこられたのは、古いアパートの角部屋
相手は二人
逃げ出したくても、どうせすぐに捕まるだろう
無駄な体力は使わない
逆らわなければ殺される事もなさそうだ
とは言え
本来の俺は、こんなにおとなしいキャラじゃない
「で?俺は何でこんなとこに連れてこられてんの?」
ジロリと二人を睨み付けると
俺のこの変わりように “翔“ が、お?と言う顔をして
「いいねぇ…その強気な目」
ニヤリと楽しそうな笑顔を見せた
「まあまあ、はいどーぞ?」
俺を巻き添えにした張本人が、のほほんと缶コーヒーを差し出す
「あ、どうも。……じゃなくて!」
思わずペコッと頭を下げようとして、慌てて踏みとどまった
きょとんとした顔をする “雅紀“
いやいや、アンタがその顔するのおかしいから
「さっさとこの状況を説明しろっての!」
語気を強めて、ようやく “雅紀“ が「ああ」と頷いた
「俺ね、何でも屋やってんの」
「は?」
「でさ、お金がいいから引き受けたら、ヤバい事に捲き込まれちゃってさ」
「え?」
「逃げてる途中で、ちょうど君がいたんだよね」