TIME is MONEY
第1章 scene Ⅰ
「…二宮」
何で俺は素直に答えてるんだ
疲れすぎて頭もまともに働かないのか?
「二宮くん、か」
雅紀、と名乗った奴がにっこりと笑う
いやいや
だから笑ってる場合じゃないし
とにかく俺の今の状況を説明しやがれ
だけど
「あ、来た来た!二宮くん乗って!」
目の前の道路に横付けされた車に、有無を言わさず押し込まれてしまう
俺、一体何に巻き込まれてんの?
…まさか殺されちゃったりしないよね?
「ちょっと…何なのマジで」
不安が大きくなって、知らず声が震えてしまう
「あはは、大丈夫!取って食ったりしないから」
それに気付いたらしい運転していた人が
楽しそうに言って
「翔ちゃん、当たり前でしょ」
雅紀、とか言う奴が笑いながらそう言うけど
俺は一体どうしたらいいんだ
理由を聞かない事には何も出来ないじゃないか
「えっと…二宮くん?」
「…なに」
「変な事はしないから、そこは安心して」
「そう言う問題?」
「まあまあ、…とにかく、着いてから、ね」
「……」
非現実な事態に突然捲き込まれて
俺はただ
呆然とするしか出来なかった