TIME is MONEY
第2章 scene Ⅱ
いとも簡単に、たった1日で、2人にキスされてしまった俺は確かに隙があるのかもしれない
けど、この訳分かんない奴らの行動パターンは俺には理解不可能で
いくら警戒したところで敢えなく無駄足になると言うもんだろう
ただ分かってきたのは
今の、この雅紀の目は非常によろしくないと言う事
少しでも怯めば何かしら仕掛けてくるのは間違いない
「…分かった、気を付ける」
俺には学習能力ってのがちゃんとある
雅紀をここで挑発して、泣きを見るのは俺だ
だから素直に、雅紀の言い分に頷いて見せた
「あれ、素直」
雅紀が少し驚いたような顔をした
「俺はお前と違って学習能力があるんだよ」
だけど憎まれ口はやっぱり止まらない
「…そう言う強気なとこが可愛いんだけどな」
…あれ?
また俺やらかした?
いやいやいや
まだ大丈夫!
俺はさっと椅子を立って、雅紀と距離を置いた
狭いアパートだけど、手さえ届かなければとりあえずは免れる
「あ、そうだ…かず」
思い出したように雅紀が振り返った
「なんだよ」
「すぐ噛みつくなよ……夜、仕事入ったんだ」
「あそ、行けば?」
「かずも一緒だよ」
俺は初めて、雅紀の仕事に付いていく事になった
どんな内容かも知らされないまま