TIME is MONEY
第4章 scene Ⅳ
突然大きな声を出した俺に驚いた雅紀が “どうしたの?“ とキッチンに近付いてくる
小さく舌打ちした翔は、それでもすぐにその顔を奥に隠し
「ふざけてただけだって」
と俺を小突いて、ピリピリした空気を払拭させた
こういう処、翔は本当に凄いと思う
一瞬で隠せるなんて、なかなか出来るもんじゃない
やっぱりこいつは相当なタマだと実感させられる
「何こそこそしてんのさ、俺の存在無視して」
拗ねたように傍に来た雅紀が、すぐに俺の手首を目に留めた
「何、その痣」
赤くなったそこをじっと見つめるから
「こいつがやったんだよ」
隣にいる翔を、嫌そうに指差した
「あはは、ついね、…愛情表現だって」
「ざけんな、アホ」
翔に合わせて、俺もふざけてみせたけど
…段々と雅紀の顔が険しくなっていくのが見えて
「あーあ、綺麗な肌にこんな痣付けて…」
俺の手を持ち上げた雅紀が、いきなり痣の上から口付けた
「へ?!ちょ…っ」
手首への、柔らかい感触に体が竦む
何してんのこいつ!
慌てて手を引き剥がそうにも、…何気に気持ち良くて本気で抗えない俺も
何してんの?!