TIME is MONEY
第5章 scene Ⅴ
「拐ったのがお前で、良かったんだか悪かったんだか」
翔が苦笑しながら、すっかり冷めたコーヒーを口に入れた
「悪くはなかったんじゃないの?」
片眉を吊り上げてニヤリとすれば
「ふは、良く言うよ」
思わず吹きそうになった翔が慌ててカップを離すから
「…俺が来てから、売り上げ上がってるはずだよ?」
再び口角を上に引き上げた
「引き受け方、の間違いだろ」
「そりゃ、金にならないもんは俺が分かる範囲は避けたもん」
断って子どもに泣かれる場面はあったけどな
…雅紀には内緒だけど
だって雅紀が知ったら “何で断るんだよ“ って怒るの目に見えてるし
無駄な争いはしたくないし
「まあ、雅紀は行き過ぎなとこあるけど
…お前も似たり寄ったりだな」
“子どもにも容赦ないって“
最後は独り言みたいだけど、しっかり聞こえたっつーの
別に冷たくあしらった訳じゃねぇよ
ちゃんと理由を説明して、謝ったよ
…理解したかどうかまでは知らないけど
「2人足して割りゃ、ちょうどいいってやつか」
「…どうとでも」
この話はおしまい
後は、俺と雅紀の話だ
翔をチラリと一瞥し、それ以上の話はするなと無言のアピールをする
すぐに気付いた翔が “やれやれ“ と言った感じにため息を吐いた