テキストサイズ

MITO

第4章 初勤務

「ごめん、水戸さん。昨年の忘年会のネタで使ったやつなんだよ」


 しかもパーティーグッズ。


 デヴィッドが忘年会で、これを使ってなにをやったのかが気になった。


『さ゚か゚や゙き"(これを被るんですか?)』


「気にいったか?」


 話が噛み合わない。


 いや、この場合、水戸さんの髪合わないと言ったほうがいいか(ダジャレです。申し訳ない)


 鏡の前に立ち、水戸さんは、そのカツラを被る。


「おお! 水戸さん、いいね、近山の銅さんみたいだ」


 水戸さんは刀を持つふりをして、殺陣を真似る。


 気に入ったようだ。


 五千円ハゲもちゃんと隠れている。


 デヴィッドは思った。


(陽気に振る舞ってはいるが、内心、悲しいんだろうなぁ……水戸さんはいつも、優しい。僕に気を使ってくれてるんだ。水戸さんに合う、レディースのウィッグを買ってきてあげよう)


 水戸さんは、ルンルンと出かけていった。


「え、え、水戸さん!? あれ!? いいの!? 時代劇だよ!? 注目されるよ!? ま、いいか、普通でも注目されてるから……」



ストーリーメニュー

TOPTOPへ