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MITO

第4章 初勤務

 強引に止められた水戸さんは、せめてブラシで髪をといていこうと、鏡の前に立ち、ヘアーブラシを手にした。


 一梳入れると、なぜか頭がスッキリとした。





 五千円ハゲが出来た。


『……』


「水戸さん、仕事行こうか……」


 デヴィッドが声をかけるも、ハゲが出来たショックでうずくまる。


 頭には、といたブラシ分のハゲがクッキリと浮かび、ブラシには束で残った、水戸さんの髪の毛があった。


『……』


「水戸さん、行ってくれなきゃ、僕が怒られるんだけど……」


『……』


「ウィッグつけようか」


『ま゚』


 機嫌がなおった。


「じゃ、ちょっと待ってて、早急に探してくるから」とデヴィッドは、リビングから出ていった。


 5分後……


「水戸さん、とりあえずだけど、こんなのしかなかったんだわ」と紙袋を掴んできた。


 水戸さんは、すぐに手を出す。


 この際、ハゲを隠せるなら、なんだっていい。


 紙袋にはカツラが入っていた。


 しかも、時代劇にあるようなチョンマゲがあり、前頭部が青々としている。


 ハゲだ。


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