テキストサイズ

MITO

第4章 初勤務

 しばらく言葉が噛み合わないトークを続けながら、トラのオリまでやってきた。


 大きなオリの中には1頭のベンガルトラが、横たわっていた。


(ひ……怖いんだけど)と水戸さんは思いながらも、ゆっくりとオリに近付く。


「ペットセメタリー(私がトラに餌を与えてる間に、そこのホウキとチリトリで糞を片付けてください)」


『ま゚』


 ジェイさんが、オリの扉を開ける。


 勢いよく入ったジェイさん。


「ぐおおおおおぉぉぉーーーーーっ!!」


 けたたましい雄叫びを上げながら、力強く牛の足を地面に叩き付けた。


 トラはまるで小動物のように体をビクつかせ、後ろを見せるように、遠ざかる。


「逃げるんじゃねえぇーーーっ!! 食えぇーーーっ!! 俺がせっかく切った牛の足を、食えぇーーーっ!!」


 日本語喋れるのかっ!!


 まず、大声と威嚇よりも、そっちに驚いた。


「デモンズ(ほら、見てください。ああやって、なかなか食べようとしないのです)」


『つ゚っこ'み^(いや、明らかにあなたのせいでしょ)』



ストーリーメニュー

TOPTOPへ