華は儚く美しく
第2章 桜色の想い
永禄七年八月十五日に京都にて僕は生まれた。
天正二年四月、十歳の時。僕は体が弱く、家の中に閉じこもっていた。
ふと窓の外から聞こえた歌声。そっと外を覗き込んだ。
高い位置で長い黒髪を赤の組紐で一つに束ね、裸足に着物を着た少女が、桜の舞う木の下でお手玉をしていた。時折、腰に刀と一緒につけられた鈴が鳴る。
僕もああやって外で遊びたい。そうは思うけれど、窓は小さすぎて、抜け出せそうにはない。部屋から玄関に向かい、外に出ようとしても親に部屋へと連れ戻される。だから僕は仕方なく部屋から少女を見ていた。
天正二年四月、十歳の時。僕は体が弱く、家の中に閉じこもっていた。
ふと窓の外から聞こえた歌声。そっと外を覗き込んだ。
高い位置で長い黒髪を赤の組紐で一つに束ね、裸足に着物を着た少女が、桜の舞う木の下でお手玉をしていた。時折、腰に刀と一緒につけられた鈴が鳴る。
僕もああやって外で遊びたい。そうは思うけれど、窓は小さすぎて、抜け出せそうにはない。部屋から玄関に向かい、外に出ようとしても親に部屋へと連れ戻される。だから僕は仕方なく部屋から少女を見ていた。