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華は儚く美しく

第1章 戦乱に散る桜

 幼き頃、信長に拾われてからずっと共に過ごしてきた。周りの人達も桜を可愛がって育てた。

 そんな中で桜は一人の男性に恋心を抱く。その人の名は明智光秀(アケチ ミツヒデ)。



 十年前、桜が八歳の頃。

「うわぁぁん」

 桜は泣いていた。

「どうかしましたか?」

 通りかかった一人の男性が声をかける。

「鈴が……鈴が」

「鈴とは、これのことですか?さっき拾いましたよ」

 男性はそう言って桜に金色の鈴を渡す。

 桜は信長に拾われたと有名だ。名前程度なら皆が必然的に知っている。

 そしてそれ以来、桜は光秀によく遊んでもらっていた。歌詠みの文の交換をしたりもしていた。

 そんな中で光秀への想いの芽が出て、膨らませていった。



「桜?何か考えごとか?」

「へっ!? あ……少し昔のことを思い出していたのです」

「そうか」

 信長は桜に微笑む。二人は昔のことを語り合う。幸せな日がずっと信じて疑わなかった。桜も信長も光秀の陰謀に気づかなかった。

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