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君を好きにならない

第1章 へぇ〜 平塚真琴さんって 真琴くんだったんだ〜


「なぁ、お前
さっきslowにいたよな?」

俺は
座ってる男の前に屈み込んで
男の顔を覗きこんだ

「……」


「どした?」


「……」


「慣れてねーだろ?
こーゆーの」


男はぎゅっと唇をかんで
首を縦に振って見せた


「ふっ(笑)
さっきの男に何言われたのか
何されたのか知らねーけど
まだ若いんだから
こんなとこ来んなよ」


「…わっ…若いから…来たんです」


「ん?」


「誰にも…言えないから…」


懐かしくて
微笑ましい


俺もそんなだったなぁ


若い時は


「ま、そーだよな。
できれば
好きな男とやりてぇよなぁ」


「……」


「けどな
怪しいやつかどうか
察しもつかねぇ間から
こんなとこウロウロしてたら
痛い目にあうぞ
若いヤツは狙われやすい
わかったか?」


男は
目を伏せて
小さく頷いた


かわいい。


色々教えてやりたくなる


「あ、あの…」


「ん?」


「あなたも…そうなんですか?」


あれ?
俺、ナンパされてる?

(笑)

真琴に似てるが
ま、それでもいいか…

今日はマジで
誰かと一緒に居たい


「あぁそーだ。
お前とおんなじ。
slowで相手探してたんだ。
俺が怪しくないヤツに見えるか?」


「…はい」


真琴によく似た男の頭に
優しく手をおいて
くしゃっと髪を撫でると
そいつは
すがるような目で
俺を見つめた


お前も…

誰かと一緒に居たいのか?



それなら俺が


居てやろうか。



「やってみるか?

俺と」


そう言って
頭に置いてた手を耳まで滑らせ
俺は
その男の
白く綺麗な耳に優しく触れた



キスしてもいい


このまま
真琴みたいな男の舌を
舐めてもいい


そう思いながら

ほんの少し

俺は
その男に顔を寄せた


真琴…


そう心の中で呟きながら


真琴…


あっ…


その時
俺は気がついたんだ


その男が

震えてることに

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