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君を好きにならない

第6章 アイツ

宿題を終えた真琴は
嬉しそうにしながら
またパソコンの前に座った。


でも

嬉しそうな真琴とは裏腹に
俺は少し
気が滅入っていた。


実際真琴は
いい仕事をしていて
前の作品とは
大きく官能の幅が広かった真琴に
感心したんだが…

なんだか
俺の手の届かない所に
行ってしまうんじゃないかと
ふと感じて

ちょっと
不安になったのかもしれない


ダメだな


作家の成長を
心底嬉しく思えないとか

編集失格だ。


俺は
嫌な気持ちを拭うように
ふーーっと
大きな息をひとつ吐き出し
台所へと向かった


そして
遅い朝飯しか食ってない
真琴のために
リクエストの
麻婆豆腐を作りはじめた。


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