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君を好きにならない

第6章 アイツ


真琴は
少し甘えるような目で
俺を見ながら
ロックグラスを指差した


かまわねーよ

もっと
お前を酔わせたい


できれば
口移しで
灼けるようなジンを
流し込みたい


「ちょっとだけ
飲みたい」


ヤバい

お前に
溶けそうだ


「かまわねーよ。
氷も溶けて
少しは飲みやすくなってっから」


そう言うと
真琴は八重歯を見せてから
ロックグラスを手にした


「沢山飲むなよ?」


「うん」


…うん…とか

たまんねー…


真琴は
すこーしジンを口にした後
「おっ」
と、小さな声を出しながら
顔をゆがめ
それからまた一口
ジンを流し込んだ


「きっつっ!」


「(笑)だから言ったろ?」


「わーなんか
急に酔ったかもー」


「(笑)もう終わりな」


真琴からグラスを取り上げ
俺も一口
ジンを喉に通すと
真琴は俺に顔を寄せて
呟いた


「向井さんスゲー」


「慣れればお前も飲めるようになるさ」


「じゃあ慣れる」


「は?」


「もう一回」


「もうやめとけって」


「もう一回だけ!」


そう言いながら
真琴は
両手を合わせて目を閉じたが
その後すぐ目を開けた時は
かなり目が虚ろになっていた


「わかったわかった
もう一回だけな?
そしたらお前はもう寝ろ!」


真琴は
コクコクとうなずき
ズイっと俺に近づくと
俺が持ってるグラスに
そのまま
口を近づけた

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