君を好きにならない
第7章 攻められました
「…はい…」
なんとか
真琴を引き止めねーと…
「僕、友達に言われる前から
向井さんに
甘えすぎてるってわかってたし
本当に迷惑かけてると
思ってたんです。
でも
ココにいると
仕事がはかどるし
向井さんがいると
安心するから
だから
なかなか
帰るって言えなくて…
本当は
誕生日過ぎたら
マジで帰るつもりだったんですけど…」
ビールを両手で持ち
いつの間にか
背中が丸くなった真琴の声は
だんだん小さくなっていた
「俺は
いつまで居ても
かまわねーって言ったろ?」
かまわねーどころじゃない
ずっとここに
居てほしいんだ
そんなこと
言えないけど
「…うん…でも…」
「でも、なんだよ」
「言われたんだ、みんなに。
そんなに頼りにしてる人に
愛想つかされて
見放されたらどうすんだ!
って
僕
向井さん
担当じゃなくなったら
ほんと
もう
多分ダメだから…
もう
出版なんて
できないから…」
真琴はそう言うと
両足を引き寄せ
ソファの上で体操座りをして
また背中を丸くした