君を好きにならない
第11章 一筋の涙
「あ、おはようございます。
向井さんも
コーヒー飲みます?」
翌朝
目がさめると
珍しく真琴が
俺より先に起きていた
「あぁ、いれてくれ」
ソファに身体を預けて
ボーっとしてると
テーブルの上の
俺の携帯が震えた
こんな早くに誰だよ
「はい、どうぞ」
「ありがとな」
「珍しいですね」
「あぁ、仕事で
トラブルだったら最悪だな」
俺は渋々携帯を手に取って
画面を見ると
俺の携帯を震わせたのは
マサシだった
『昨日はちょっと飲み過ぎました。
おはようございます』
昨日会ったばっかりで
こんな早朝からLINE
送ってきやがった
まぁ・・
悪い気はしねーけど。
「トラブル・・・じゃなさそうですね」
「あ、あぁ
昨日飲みに行ったヤツからだ。
そうだ真琴
進めていいぞ、最終章。
いいもんになりそうだ」
「よかった~」
真琴は
ほっとした顔で
俺の隣に腰を下ろして
脱力した
「もうちょっとだ
頑張れよ」
そう言いながら
真琴に顔を向けると
「はい!」
そう言って
真琴も俺に視線を合わせた
思いの外
近くにいる真琴に
俺はハッとしたが
無防備な真琴は
そんなこと
全く気にしない様子で
目じりを下げた
まだ寝起きで
ぼさぼさの髪のまま
嬉しそうに
笑う真琴
その頭を
引き寄せて
甘いキスが
したい
軽いキスでもいい
照れて笑う真琴に
何度でも
したい