君を好きにならない
第12章 好きにならない
「司さん!」
「おぉ、どうしたんだよマサシ」
スーパーで
買い出しを終えて
マンションへと戻ろうとした時
俺はマサシに呼び止められた
「忘れ物…
あ、一つ持ちます」
「あぁ、悪いな」
マサシは
スーパーの袋をひとつ
俺から奪いながら話を続けた
「電話したんですけど繋がらなくて・・
これ、司さん帰る時忘れて行ったんです。
急ぎで必要だったらいけないから
もって来ちゃいました」
「あ~・・悪かったな、わざわざ。
全然気づかなかった、ありがとな」
家に帰ってから
風呂に入ったり
真琴の小説をチェックしたり
買い物に出かけたり・・
俺は携帯をどこに置いたかさえ
思い出せない感じだった
「あ、マンションの前まで行きます。
それにしても大量の買い物ですね」
「冷蔵庫になんもなくてな(苦笑)」
マサシと俺は
今朝までのことが
何もなかったように話しながら
マンションの前まで歩いた
それは
なんだか不思議な感覚で
友達でもなく
後輩でもなく
兄弟でもなく・・・
決して恋人でもない
こうゆーのが
特定なセフレなのかもしれない
と思った
「じゃあ、ここで」
マンションに着くと
マサシはスーパーの袋を俺に返した
「ありがとな」
「また・・来てくださいね。
もう変なこと言いませんから(苦笑)」
バツが悪そうに笑うマサシが
妙に
可愛く思えた
「それは
俺も一緒だ(苦笑)」
「いえ、むしろ
司さんはじゃんじゃん言って下さい(笑)」
「その気になったらな(笑)
じゃ、またな」
「はい、また」