君を好きにならない
第13章 追跡
「もう…着きますね」
「あぁ」
マンションが近づき
あー…また
現実に戻される
そう思うと
つい
俺は無口になってしまう
「飲み足りないですか?」
「…いや…」
「すぐ眠れますか?」
「あー…大丈夫だ。
ありがとな」
「ほんとに?
ほんとに眠れますか?
まだ酔いが足りないなら
もう一軒行ってもいいですよ」
「大丈夫だって」
そう答えた時には
もうマンションの目の前に
到着してしまっていた
「じゃあ、
すぐに寝て下さいね」
「あぁ」
「司さん…」
「ん?」
「やっぱり…
心配なんで
部屋の前まで
行ってもいいですか?」