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君を好きにならない

第13章 追跡


聞き覚えのある声

急いで声の方を振り向くと
そこには
アパートの廊下を
勢いよく走って来る
真琴の姿が見えた


「真琴…」


真琴は俺のそばまで
走って来たかと思うと

「待って、嫌だよ
部屋に入らないで!」

そう叫びながら


俺に抱きついた。


えっ…

何が
起きてるんだ…?



真琴は
しがみつくように
俺をきつくしめつける


それを見たマサシは

そっと
俺から手を離した



「ま、真琴…
お前なんでここに」


「ずっと向井さんのこと
付けてたんだ。
その間ずっと考えてたんだけど
やっと分かったんだ」


「な、なにが」


「向井さんを
この部屋に入れたくない!
僕、向井さんが
他の男の人の部屋に入るの
嫌だ!」


「わ、わかった。
わかったから真琴…」


それは
妬いてくれてんのか?
そーゆーことなのか?

色々聞きたいことはあったが
真琴は
とにかく無茶苦茶に
俺を抱きしめていて
声も大きい

こんなとこで
話してたら
とにかくマサシに
迷惑がかかる


そう思った瞬間
マサシの声が聞こえた


「司さんの部屋で
ゆっくり話したらどうですか?」


「…そうするよ。
ごめんな…マサシ」


色んな意味を込めて
俺が謝ると

マサシは苦笑いを浮かべながら
右手を上げた


「じゃ…また」


その時に見た
マサシの目は

俺がマサシとはじめて会った
あの日のような

寂しい目をしていた。

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