君を好きにならない
第13章 追跡
ピーンポーン
「はーい。
え?司さん?!
あれ?俺、携帯…」
仕事が何時に終わるのか
連絡しないまま
俺はマサシのアパートに来ていた
「突然ごめんな」
「い、いや、そんなの全然。
あ、えっと…」
このまま俺を部屋に上げるのか
それとも
俺と俺のマンションに
向かえばいいのか
マサシは迷ってるんだろう
その答えを聞きたそうな顔で
マサシは俺を見つめた
「マサシ」
「は、はい」
「真琴からLINEが来たんだ」
「…はい」
「それで」
「……」
「凹んでんだ」
「…はい」
「泣いてもいいか
……ここで」
「司さん…」
もう
その時
少し泣いてたかもしれない
マサシが
泣きそうな顔をしていたから
「……ごめん」
「いいんです。
どんな理由でも
俺のところに来てくれたなら…」
マサシは
そう言うと
俺の腕を掴み
「入って下さい」
優しく俺の腕を引いた
このまま
マサシに抱き寄せられたら
俺は
やっと
思い切り泣ける…
そう思った瞬間だった
「向井さん待って!」