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君を好きにならない

第14章 好きの意味


しばらくすると
心も身体も落ち着いたのか
真琴もソファから降りて床に座り
空になった缶ビールを
テーブルに置いた



真琴が生粋のゲイだったら
キスのあと
そのまま深く身体を繋げ
甘い雰囲気のまま
愛を囁きあっただろう

「付き合おう」という宣言とか
「今日から恋人な」なんていう
確認などしない

肌を触れ合わせて
相手の想いの深さや愛しさを
理解し合うんだ


でも
真琴は違う

真琴は
俺のことを好きで
キスをしたかったかもしれないが
本当に男を愛することが
できるのかどうか
本人さえも
分からないはず


俺は
そんな真琴と
身体を繋げるなんてことは
できなかった


引かれたら…最後


だから
正直こんな関係ははじめてで
どうすればいいのか

分からない


付き合おうと
言えばいいのか?

それもとも

恋人になろう…とか?


「向井さん」


「え?、あ、あぁ、なんだ?」


もしかして…
付き合おう宣言か?


「僕のこと好きだったのに
なんで避けてたんですか?」


ち、違った


「あー…それは…
お前がゲイじゃないって
分かったからかな…
お前を好きって気持ちに
ブレーキかけるために
距離を置いてたんだ。

てか、お前こそ
なんで俺を避けてたんだよ。
仕事のことで
俺に頼ることもしなかっただろ?」



「僕は…
向井さんが僕を避けるから
嫌われたって思ってたし
僕、マサシって人が
向井さんの好きな人だと思ってたから
仕事のことで
僕のこと触るのとか嫌だろうと思って
色々頼めなくなっちゃって…」


「そ、そうだったのか?」


「うん…
マサシって人が恋人だったとしたら
絶対その人も嫌だろうし。
そしたら全然
小説書けなくなっちゃって(苦笑)」

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