君を好きにならない
第14章 好きの意味
《Side マサシ》
「じゃ、また」
そう言って
司さんを見送り
玄関のドアが閉まると
我慢していた涙が
一気に込み上げ
玄関に立つ俺の耳に
「静かにしてろ」
と、真琴さんを叱る
司さんの声が届くと
その涙は
溢れて流れ落ちた
真琴さんに
嫉妬してるわけでもなく
悔しいわけでもない
ただ
寂しかった
司さんと友人でもいい
2人で過ごす時間が
たまらなく
幸せだったんだ
…っ…でももう…
それすらも
きっと叶わない
あの日…
司さんが
この部屋に来てくれた
あの時
部屋に入ってもらえばよかった
最初から
俺を好きじゃないことくらい
分かってたんだから
それでもいい
俺を真琴と呼んでも
かまわない
どうせこうなるなら
あの日…
あの日…っ…