君を好きにならない
第2章 真琴!死ぬなよ!
BAR slow
「あらあら
それで今日は
飲みが進んでんの?」
「まぁな…」
「そんなに凹まないのっ
またすぐ会えるんでしょう?」
「あぁ
明後日、ちょっとだけな
様子見てくる」
「やだー(笑)
明日我慢すれば会えるのに
そんなに凹むなんて
なんか妬いちゃう!
真琴くんって
どんな子なのかしらー
あっ…」
「ん?」
「来たわ」
「え?」
「…あの子」
オネェの視線の先に目をやると
真琴に似たあの若い男が
店の入り口に立っていて
俺に視線を合わせた
「今日が二回目よ
あれから一度も来てなかったもの」
その男と目があったが
俺はすぐに視線をそらし
ジンのロックが入ったグラスに
視線を落とした
「隣…いいですか?」
こんな声だったっけな
あん時は
怯えてるような
怒りを抑えてるような
すがるような…
なんとも言えない声をしていたけど
「あの…」
俺の返事が遅く
不安になったのか
男の声は
急に弱々しくなった
「かまわねぇよ」
……かまわねぇけど
「ありがとうございます
あの…俺の事覚えてますか?」
知らない振り…すっかな…
「覚えてねーな」
じゃねぇと
「そう……ですか…」
慕われても
困るから