君を好きにならない
第2章 真琴!死ぬなよ!
フッ…
部屋を出てドアを閉めると
俺は
自分のことを鼻で笑った
何やってんだよ
こんくらいのことで。
なんでもねー振りをすんのは
慣れてただろ?
……と。
その時
「向井さ…」
部屋の中から
気怠い真琴の声が聞こえた
「あ、あぁ、すぐ戻るから!」
あいつが調子悪いのに
何考えてんだ俺は
真琴の声で
平常心をたぐり寄せた俺は
急いで着替えと水を持ち
真琴の所へと戻った
「待たせたな、大丈夫か?…」
ベットに座り
身体を丸めてる真琴は
パンツしか履いてない状態
それを見て
せっかく取り戻した平常心を
手放してしまいそうで
「これでも着てろ」
と、俺はぶっきらぼうに
手に持っていたスウェットを
軽く真琴に投げつけた
「ひでーー…」
そう言いながらも
俺に小さく頭を下げて
真琴は
スウェットに袖を通した
そして今度は
ふらふらと立ち上がり
ズボンに足を通しはじめ…
「あっ」
「おいっ、大丈夫か?!」
ふらついた真琴は
転びそうになり
思わず駆け寄った俺は
真琴を
腕の中に抱き寄せた
「助かった…」
真琴は
目をほとんど閉じたまま
そう言って頰を緩め
俺に八重歯を見せた
「マジ…こんな熱出たの久しぶりで…」
と、少し照れたように笑う
そして俺の腕の中で
身体のダルさを俺に預けたまま
ズボンに足を通した
真琴の熱い身体を
このまま
朝まで
抱きしめていたいと思う
そんなに俺は
真琴が好きなのか?
それとも…
寂しいからだろうか…
「向井さん…」
ズボンを履き終わると
真琴は重そうな瞼を
片目だけを少し開け
眩しそうに俺を見つめた
っ…
真琴の何気ない仕草の
ひとつひとつが
俺の胸を鷲掴みにしていた
「なっ…なんだよ…」
「……寝てい?…」
……だよな(苦笑)
「あ、あぁ…もちろん」