君を好きにならない
第2章 真琴!死ぬなよ!
風呂の中の真琴は
裸なわけで…
い、いや
そんなこと
気にしてる場合じゃない
俺たちは単なる
男同志だ
そう心で呟くと
俺は
勢いよく風呂のドアを開けた。
「大丈夫か?真琴…」
するとそこには
「向井さん……」
トレーナーを着たまま
びしょ濡れになってる
真琴が立っていた
「え、なんで?」
着てんじゃん、服。
「風呂場あっためとこうと思って
シャワー出したら
水、かぶっちゃって…」
「何やってんだよお前はー
てかまぁ、よかった、うん。
倒れてなくて」
てか…服着てて。
「冷でー…」
真琴は照れながら
八重歯を見せて笑った
まったく
ほんとにこいつは
可愛くて
噛み付きたくなる。
「心配かけんな!」
「ハクションっ」
「早くあったまって寝てろ!」
バンッ!
そう言い残して
勢いよくドアを閉め
俺は玄関から飛び出した
マンションから出ると
なんか
わかんねーけど
走りたくなって
ウズウズする気持ちを
発散するみたいに
息が上がるまで走り続けた
あーーーっ
ほんとにもう
なんちゅー奴なんだ真琴は!
見てると
自分を抑えるのに必死で
奥歯にチカラが入って仕方ねー
真琴
真琴真琴真琴真琴…
俺は
頭の中から
あいつよりも真琴の存在が
大きくなっていくのを
感じはじめていた