君を好きにならない
第3章 誘ってんのか?
Side マサシ
初めてだった
あんなに
寂しそうな司さんを見たのも
自分から
誰かを
抱きしめたのも
「離せ・・」
俺が司さんを抱きしめると
すぐにその言葉が
耳に届いていた
でも司さんは
俺の腕を振り払おうとはしない
何があったんですか?
酔ってるんですか?
俺じゃ
だめだんですか?
俺の
何がダメなんですか?
マコトって誰なんですか?
マコトって・・・
「マサシ・・」
本当は抱きしめられたかった
優しくしてくれた司さんに
もう一度だけでもいい
優しくして欲しかった
「俺・・・
司さんになら
何されてもいいんです」
「やめろって」
司さんからは
言葉だけの抵抗が続いていた
酔ってるのかもしれない
奥の席で
様子を見ていたけど
かなり急ピッチでビールを飲んでいたし
司さんは
身体を少し俺に預けたまま
立っている感じだ
「送ります」
「ほっとけ」
「ほっとけません。
酔ってますよね?
送り届けるだけです。
何も・・・
何もしなくてかまわないから
送らせて下さい」
「・・・」
「俺も・・」
「・・・・・」
「寂しいんです」