君を好きにならない
第3章 誘ってんのか?
Side 司
それから俺は
何も言い返せなくなり
マサシに促されるまま
タクシーに乗った
家に居た男が
いなくなった
たったそれだけ
付き合ってるわけでもない
男が部屋からいなくなった
それだけなのに
せっかく忘れかけていたアイツのことを
また思い出して
俺は妙に落ち込んでいた
あんまり
食欲もなくて
酒ばっか飲んで・・・
「大丈夫ですか?」
「・・多分な・・」
本当は大丈夫そうでもない
マサシに寄りかかってないと
フラつきそうだし
このまま寝てしまうと
マンションに着いた途端に
吐きそうだ
そう思って
思い瞼を押し上げると
俺をのぞき込む
マサシがいた
そんな心配そうな顔すんなよ
そんな・・・
悲しそうにしてんなよ
マサシ・・
「マコトって・・」
「・・・」
「マコトって・・誰なんですか?」
「・・マコト?
あぁ・・・真琴な・・」
「・・はい・・」
「真琴・・
・・・・真琴?」
「・・?」
なんだよ
真琴
俺のこと心配して
来てくれたのか?
またお前は
そんなに顔近づけて
・・誘ってんのか?
「仕事ちゃんとやってんのか?
真琴
連絡待ってたんだぞ?
お前の連絡ねーと
会いにいけねーだろ?
だから
ずっと待ってんのにさ
会いたかったんだ
・・・真琴」