君を好きにならない
第3章 誘ってんのか?
・・・?
もう一回・・だけ?
その時だった
『ブーーー、ブーーー、ブーーー・・』
俺の携帯が鳴り始め
その画面に「真琴」の文字が
浮かび上がった
「またマコトですか」
マサシはそう言いながら
ちょっと俺をにらみつけて
コーヒーを口にした
「出ていいか?」
「どうぞ」
ワンルームだけど
とりあえず俺はマサシに背を向け
真琴からの電話に出ることにした
「おう、なんだ?
え?あぁそうか
いや、今は居ないんだ。
せっかくなのに悪いな。
でもちょっとしたらそっちに・・
時間は・・・」
なんてタイミングが悪いんだ。
真琴は俺の宿題を終えて
昨日の夜から俺に何度も電話をしたのに
応答がないから
マンションの近くまで
会いに来てくれたらしい。
それなのに俺は
マサシの部屋。
「ちょっと待てよ」
真琴に「待て」と伝えて
俺はマサシに話しかけた
「なぁ、ここから目黒までどのくらいかかる?」
「え?」
「目黒まで行くにはどんくらいかかるかって言ってんだよ」
「司さん目黒に住んでるんですね」
「いーから早く教えろって」
「その真琴って人とキスしたことあるんですか?」
「お前何言ってんだよ!」
真琴にその会話を聞かれたくなくて
慌てて携帯に手をのっけたけど
携帯のどこがマイクの部分なのか分からず
急いで携帯を布団の中につっこんだ
「あるんですか?
教えてくれたら目黒までどのくらいか教えます」
「あるわけねーだろ!早く教えろ!」
するとマサシはニヤリと笑って答えた
「40分です」